ハンガリーのピアノ教本⑥
ハンガリーを代表する作曲家バルトークのピアノ教本といえば「ミクロコスモス」ですが、他にもハンガリーの人々に愛されている素晴らしい曲集があります。
全4巻79曲の小品からなる曲集「こどものために」です。
ピアノを初めて2〜3年の子供たちが弾ける曲から、中級以上の生徒さんの発表会プログラムになるような曲まで載っています。
この曲集の大きな特徴は、ハンガリーとその近隣の地域から、かつてバルトークが採集した民謡(わらべうた)がバルトーク自身の手によって、美しいピアノ曲に編曲されたということでしょうか。
ほとんどすべての曲には歌詞があります。
♪ さあ、甘くておいしいお菓子を焼きましょう うずまきもようのおいしいレーテシュ・・・
♪ お日さま お日さま 照らしておくれ 私のこひつじがこごえないように・・・といった可愛らしいものや、
♪ 星よ 星よ 気の毒な若者に 道を示しておくれ 故郷までの道が見つけられるように・・・という深い内容のもの、他にも恋のうたや酔っぱらいのうたなど、昔からの人々の暮らしに根付いた、ハンガリー人なら誰でも知っている親しみやすい民謡ばかりです。
この曲集を弾く場合、歌詞を知っている知らないでは、その魅力は半分以下になってしまうといっては言い過ぎでしょうか。
それぞれの歌詞の背景が浮かぶようなバルトーク独特の繊細な響きがそれは素晴らしく、本当にハンガリーの宝物のような曲集です。
4巻全曲すべてをカティ先生から丁寧に教わるレッスンは、ハンガリーの歴史や文化を知るレッスンでもありました。
ハンガリーを代表するピアニストもこの曲集のCDを出しています。
カティ先生曰く「子供たちのお手本にするならデジュー・ラーンキね。でも聴いていて面白いのはコチシュ・ゾルターンかしら」と片目をつぶっておっしゃっていました。
ハンガリーを代表する三人のピアニスト、三羽ガラスと呼ばれるうちのひとりデジュー・ラーンキは、確かに優等生タイプの品のある演奏をするピアニストです。
対してコチシュ・ゾルターンはいたずら好きのやんちゃっこタイプで、その個性的な演奏はとっても魅力的です。
「こどものために」・・・久しぶりに自分も弾いてみようと思います。
〜中川ピアノ教室〜
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