ハンガリーの民俗楽器テケルー編③
テケルーのレッスンは、とにかく弾いて弾いて慣れるのがいちばん!といった感じのレッスンでした。
そんなある日、パールのかわりに別の先生がレッスンにやってきました。
セレーニ・ベーラという先生はテケルー弾きというよりは、数学教師?といった感じの先生でした。
ベーラは(ハンガリーでは先生の名前を呼び捨てで呼んでいました。というのも私もピアノの先生なのだから対等だというのが理由のひとつ)テケルー奏者であると同時に、テケルーの数少ない楽器製作者でもあり、テケルーゼネカル(テケルー楽団)という合奏団を結成し、テケルーの伝統を守ると同時に新しい可能性を模索中のとても才能ある人なのでした。
「テケルーゼネカル。左から三人目がベーラ、右端がパール」
ベーラのテケルーの演奏はとてもクールで、パールの力強い演奏とはまた違うスタイルです。
「テケルー奏者でもあり、楽器製作者でもあるセレーニ・ベーラの演奏」
テケルーの特徴のひとつに、リズム弦があります。演奏をよく聴くとメロディに混ざって「ビッビッビッビッ」という鼓膜がびりびりするような音が聞こえます。
弦と本体の間に薄い木をはさみ、それを振動させてリズムを刻むのですが、その音の出し方がまた不思議です。
本体の横にあるハンドルをぐるぐる回し、小さな鍵盤を押して音程を作り、なおかつハンドルに微妙なアクションを加えると木の破片が振動して「ビッ」という音がなるのです。
だから演奏をよく見ると、ハンドルを回す速度は一定ではなく変則的な動きをしているのがわかると思います。
これがなかなか出来なくて悪戦苦闘していると、ベーラに「なんで出来ないの?こんなに簡単じゃん」などと軽く言われてちょっと悔しかったりもしましたが、左手で旋律を弾きながら右手でハンドルを操作してリズムを刻むのは、思ったよりとっても難しいのでした。
そしてレッスンに通ううち、MYテケルーがどうしても欲しくなってしまったので、ベーラに制作をお願いすることにしたのでした。
〜中川ピアノ教室〜
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