和音の連なりをなめらかに弾くコツ

楽譜の中に2つ以上続く和音が出てきた場合、生徒さんの手元を見ていると、和音を弾くごとに指の形がリセットされ、次の和音を弾くまでに時間がかかっていることがよくあります。レッスンではこのようなとき「指が迷子になってるね」と言います。

離れた位置に和音が移動する場合ももちろんありますが、まずは近い位置で移動する基本的なカデンツで指に和音を連続して弾く感覚を覚えこませましょう。

文字で基本的なカデンツを表してみました。

 

和音を弾く時のコツがあるのですが、縦に揃えることばかりに気を取られますが、横へ連なる流れを感じられるとベストです。

この場合、5の指はソーラーソーソーソー

1の指は、ドードードーシードー

1−5で掴む和音を、和音の外枠とレッスンでは伝えています。外枠の2つの音を1−5で弾くとわかれば、あとは真ん中の音と指を考えればいいので譜読みが楽になります。

真ん中の声部は、ミーファーミーレーミーですね。

ここまでいいでしょうか?

 

右手でドミソを弾くとき、指は1−3−5となります(これは基本の指使いなので例外もあります)

次にドファラを弾くとき、ド(1の指)は動かず、3−5の指が右側へ鍵盤ひとつ分ひとつずれます。この時、1−3の感覚が鍵盤ひとつ分からふたつ分になるという意識を明確に持つことが大切です。

そして、元のドミソに戻ります。

その次、シレソの和音を弾く場合、ソ(5の指)は動かさずに、1の指がドからシへ鍵盤ひとつ分ずれます。

この時、注意するのが和音の真ん中の音【レ】です。

今まで真ん中の音は全て3の指で弾いてきましたが、このシレソの和音は真ん中の【レ】の音を2の指で弾きます。

生徒さんにはカデンツを連続して弾いてもらい、シレソの和音を1−2−5、1−3−5で弾き比べてもらいます。手の甲が平らに保てるのはどっちの指かなと考えてもらうことで、この和音だけ指使いを変えた方が弾きやすいことを納得してもらいます。

指が次の音へ勝手に動いているわけではなく、指使いには理由があり、そしてひとつひとつ脳から指先へ指令を送っていることに気がついてもらいます。そして、和音の3つの音のうち、同じ音を弾いている指があることに気がつくと、弾くのがぐっと楽になります。和音をひとつひとつリセットしながら弾くのではなく指を鍵盤上に置いたまま次の音を弾くクセをつけるとなめらかに弾けるようになります。

頭で理解出来たら、今度は考えなくても指が次の鍵盤に自然に動くようになるまで反復練習をします。

プロのピアニストがあまりに軽々と弾いているのを見て、「あ、なんか簡単そう、自分にも出来るかも」と思う人もいますが、そこは勘違いしないようにしましょう😅