オルガン発表会を終えて
気持ちのよい青空が広がった5月4日(日)、ついにこの日がやってきました。
すみだトリフォニーホールで開催された、オルガン発表会です。
私が演奏したのは、バッハのオルガン作品の中でも特に大好きなかの有名な《小フーガ ト短調》。
いつかはこの曲を弾いてみたい──そう夢見ていた曲を、思いがけず早く、大ホールのパイプオルガンで演奏するという機会を、先生が叶えてくださいました。
……とはいえ、最初にまず正直に言いますと、演奏の出来は自分としては本当に悔いの残るものでした。誰もがどこかで耳にしたことのある有名な曲だからこそのプレッシャーもありましたが、本番ではメンタルの弱さが出てしまい、演奏後はかなり落ち込みました。
それでも、ミスをしても冷静に立て直し、最後まで弾ききることができたのは、唯一ほめてあげたい点かもしれません。
この舞台で演奏するほんの数分間のために半年以上の時間をかけ、体感では1,000回以上は練習を重ねたでしょうか。
数日前から胃が痛くなり、出てくるのはため息ばかり、本番前の舞台袖では手が氷のように冷たくなり、脚も震えるほどの緊張感……。
それでも、なぜこんなにも苦しい思いをして挑戦するのかというと、私にとって舞台での演奏は、少しでも成長している自分を実感し、確かめる大切な場だからです。
もちろん、うまく弾ければそれは嬉しいです。けれど、失敗もまた挑戦の証。むしろ、失敗の中にこそ多くの学びがあることを、これまでの経験から知っています。
……とはいえ、今回の結果は思った以上に酷かった(笑)。けれど、これが“今の自分”なのだと思います。
当日は、家族、教室の生徒さんたち、プリズムのメンバー、ハンガリー留学時代の友人など、本当にたくさんの方がホールに足を運んでくださいました。
みなさんからは「パイプオルガンの迫力に圧倒された」「貴重な機会をありがとう」と口々に言っていただき、ご招待した側としても本当に嬉しく思いました。
ひょんなきっかけで始めたパイプオルガンですが、その魅力と奥深さは、まだまだ先が見えません。
時に厳しく、時に温かく励ましてくれる先生との出会いも、私にとっては宝物です。
また気持ちを新たに、次の1曲の譜読みを始めます。
プロのカメラマンさんが演奏中の写真を撮って下さっていました。ありがとうございます。
Photo by GakAz