ラ・カンパネラが弾きたい

フジコ・ヘミングさんの訃報を知り、改めてフジコさんの苦難な人生と美しいピアノの音色に想いを巡らせる1ヶ月でした。

唯一無二とはこういうことを言うのでしょう。

訃報が流れたあとに放映されたNHKのドキュメンタリー番組、そのラストシーンには涙が止まらず、それからしばらくは思い出すたびに泣きそうになりました。

フジコさんといえば、リスト作曲の「ラ・カンパネラ」ですね。

演奏会で、89歳のフジコさんが演奏する生のカンパネラを聴かせて頂きましたが、それは本当に奇跡というに相応しい演奏でした。

番組の中でもフジコさんが「自分の弾くカンパネラがいちばん好き。ひとつひとつの鐘に魂がこもっているような」と仰っていました(カンパネラとはイタリア語で「鐘」という意味)

リストの「ラ・カンパネラ」は難曲中の難曲で、私も弾いてみたいと挑戦しては諦める。。。の繰り返し。

今回は自分で覚えている限り4回目のチャレンジで、不思議なことに譜読みが今までになく進んでいます。

というより練習が楽しいのです。最後の音に辿り着くまで、練習を続けようと思います。

フジコさんはこうも仰っていました。「楽譜の後ろに(作曲家の)霊感を感じないような演奏はダメだ」と。

もともとこの曲は当時の天才バイオリニスト、パガニーニが作曲したバイオリンのための独奏曲です。そのパガニーニの超絶技巧の演奏に深く感銘を受けたリストがピアノ曲に編曲した曲です。

散らばった音符の後ろにほんの一瞬、お互いを最大限にリスペクトしつつ、かつライバルでもあったであろう二人の偉大な音楽家の気持ちが垣間見えたような気がしたのは気のせいでしょうか・・・